税理士試験の計算練習では、見出しを略さないようにしよう

「課のみ、非のみ、共通」というのが、大原簿記学校で消費税法を習う計算パターンの見出しなのですが、これ、初見ではショックを受けると思います。

「こんなこと書いて受かるの?」と思われるでしょうが、受かります。

一方、テキストの計算パターンを見ると、この簡略化された見出しの正式名称がちゃんと書いてあります。これがまた長い見出しなので、略したくなる気持ちはわかります。

でも、初学者のうちは、この長い「正式名称」で問題を解いた方がいいと思います。理論にも出てくる言葉もありますし、正式名称を使って計算の流れを書いていくと、自分が何をやっているのか、つかみやすくなると思います。

これは何税法でも同じなので、最初のうちは、ぜひやってみてください。長い名前を書かずとも意味が分かるようになってから、略称見出しに切り替えましょう。

P.S. 税法用語で一度聞いたら忘れられない用語マイベスト1「消費税等(消費税を除く。)

最小の理解で最大の解答を目指すには

肝となる考え方を学んでいるので、細かい具体例を知らなくても、ある事実が「該当する」のか「該当しない」のかが(8割方)分かる。これが、税理士試験でも実務でもあるべき姿だと思います。

実務では確実性を上げるために、頭の中だけでは判断せず文献に当たりますが、試験では頭の中だけで判断する必要があるので、特に目指したい状態です。

たとえば、相続税における葬式費用。何が相続財産からマイナスできて、できないのか。通達を見れば色々書いてありますが、これらを個々に暗記せずとも、「葬る」の辞書的な意味をきちんと押さえれば、「できない」ものを判定しやすくなります。

【葬る】 死体・遺骨を墓所に納める。埋葬する。

コトバンク

つまり、埋葬するまでにかかるべき費用が葬式費用です。便宜上、埋葬の前に行ったが、理論上は埋葬の後に行うべきものは、葬式費用に該当しません。告別式と同日に行う初七日法要の費用が「該当しない」例ですね。

税法初心者が陥りがちなこと

税理士試験の受験予備校で税法科目の授業を受けると、条文の要約を読んで、「これはこんな意味です」と習います。

でも、税法の受講が初めてだと「その意味、条文に書かれていないんですけど?」と思うと思います。確かに書かれていません。交際費等の三要件とかが代表例です。私も疑問に思って先生に聞きました。すると「判例でそうなっています」とのこと。

これは税法に限らず、あらゆる法律がそうですが、なんでもかんでも条文には書きません。法改正によらず、一定の範囲内で柔軟な運用ができるようすることが目的です。グループ法人税制あたりから、要件をきちんと書き込むようになりましたが、昔の税法は、文字通りに読んだ意味でないことがあります。

税務署の考えは、通達で分かります。しかし、明確な通達がない場合は、立法当時の税制調査会の答申や、裁判例等で意味を固めていきます。条文になくても、立法趣旨に則って判決が出ることが多いようです。

税理士試験で実力以上の力を発揮するために『BET』に学ぶ

『BET』(押川雲太朗、モーニングKC)で、勝負について学びました。1年目の人が2年目の人に勝つには、勝負するしかありません。

勝負どころをつくって そこできっちり勝つ それが本当の勝負師の戦いかただ

『BET』1巻

実力以上の力を出すために、インプット段階でも勝負します。出題予想のA・B・Cランクがありますが、「バクチの基本は初手は見(ケン)」なので、全部均等に見たうえで、本試験の1時間前は、Aランクだけ見る。時間が余ったらB。こういう使い方をします。

本試験は、試験委員との対人戦です。過去問を見て、求められていることを予測し、それに応えるように勉強し、わからなくても、知っていることを組み合わせて答えを出す。残り10分では、いつも次の言葉を思い浮かべながら、問題を解いていました。ここでもう一問解けないようなら…と。

ここでスペードが引けないようなら… 俺の生きる場所などどこにもない…

『BET』3巻

先生はどうして先生になるか

授業の後、トイレで「あれってどういうことなん?」と話してたら個室の扉がドーンと開いて「それはですねえ!」ってさっきまで授業してくれてた先生が出てきた

このエピソードが好きです。「先生」というものの性質がよく表れています。「先生」になると、質問される立場になるわけですね。質問されると、先生も勉強して回答するので、さらに先生として成長していきます。生徒や受講生は、先生にがんがん質問して、先生を育ててほしいですね。

私もいちおう税理士なので質問されますが、それにちゃんとした回答をしようと思ってがんばってるときが一番楽しいですね。

今もいろんな先生の講義をWebで聴いたりしますが、的外れな質問でも、された方はうれしいんだなあと思って、機会があれば気楽に質問してみたいと思います。

税理士試験の受験中は、講師に休み時間のつど質問をしていました。話を聞いているとどんどん疑問点が出てくる状態をキープしましょう。

歯磨きの上達法と税理士試験の勉強法

昔、いつも同じような場所が虫歯になるので、その箇所だけ磨く回数を増やすようにしました。

それでも虫歯になるので、歯科衛生士さんの指導どおり、限界まで力を入れずに細かく磨くようにしました。

それでも歯と歯との隙間が虫歯になるので、指導どおりデンタルフロスを使うようにしました。これで、虫歯はなくなりました。

虫歯ができなければ成功、できたら失敗です。失敗したら、その箇所に対策を施す。受験勉強でいえば、間違えた問題を研究して解きなおすのに似ています。

でも、ミスした問題だけを解きなおすのはNGです。それは、虫歯ができた箇所だけをよく磨くのと同じで、他の歯が虫歯になります。虫歯ができない歯も含めてつねに全部磨くから、成功するのです。

できた問題もすべて解きなおす。そうしないと、できた問題の解き方をしだいに忘れてしまいます。歯も試験も長期戦です。長期戦には、成功箇所も失敗箇所も等しくやり直すことが有効です。

『新九郎、奔る!』の読み方

8巻が出ましたが、これ、読むのにかなり骨が折れたはずです。読破にかかる時間も長かったのではないかと。これまでもそうでしたが、とにかく情報量が多く、特に今回は関東に近づいたこともあって、知らないことが多いと感じたのではないでしょうか?

『新九郎、奔る!』の読み方は、理想的には、最新巻を読んだ後、また1巻から読み返すことです。「そんな時間はとても取れない」という方には、8巻に出てきた人物が最初に出た巻をバーっと探して(この場合は、2巻を)読み直すことをお勧めします。

2巻を読むと、おどろくべきことに、鎌倉公方の名前も出てきます。関東の内乱、上杉家の勢力図のことも出てきます。駿河と遠江の関係も復習できます。これで8巻の内容がすっきり頭に収まったのではないかと思います。

実は、試験勉強もこの方法が使えます。新しく習ったところと関連するところを、最初からさかのぼって復習する。情報量の多さへの対処法でした。

税理士試験は何ではないか

税理士試験1日目、おつかれさまでした。今日は「税理士試験は何ではないか」についてお話しします。

税理士試験は、実務で頻出する論点を出題する試験ではありません。予備校では、試験によく出る論点を勉強するので、あくまで試験のための勉強をしています。「実務でやらないから」という理由で論点を捨てるのは危険です。

税理士試験は、2時間で解き終える分量を出題する試験ではありません。受験生の心を折ることを目的に、大量の問題を出してきます。量ですぐ諦めようとする人には、税理士には向かないと言っているようです。

税理士試験は、深い知識を問う試験ではありません。全体像を知っているかが問われています。深掘りするよりも理解した上で、理論教材の目次や付録の条文構成を眺めるほうが役立ちます。『会計人コース』の国税徴収法講座では、毎年、滞納処分の流れの全体図が紹介され、「全体像を何も見ないで書けるようになれ」と指導されます。

税理士試験 簿記論の解き方

  • まず解答要求を確認する
  • 問題文を一字一句読むこと、よく考えること、原則または指示どおりに処理すること。この3つを省力化しないように
  • 問題文はすべてヒント!
  • 見慣れない文章をみたら、ていねいに読んで、よく考える。何となく解かない。式やT勘定にすれば分かる
  • それは「いつ」か、会計期間が4月~3月以外か、確認する
  • 仕訳問題は、単位に気を付ける。問題文が「千円」でも解答欄が同じとは限らない
  • 数字を頭の中で読み上げながら、ていねいに書く
  • 総合問題のすべての問題のうち、いちばんボリュームが少ない問題から解く。営業外損益がおすすめ
  • 使い終わった資料は、全体に大きく×をつける(あとから間違って数字を拾わないために)
  • 適正値ではなく、途中経過を解答させる問題がある
  • フォーマット指示があれば、先にすべて書いておく(△など)
  • メモ書きは、集計作業をしているところに集中させる
  • 解ける問題がなくなったら、まだ読んでいない文章がないか探す

会計人コースWebのアンケートに答えました

【税理士試験合格者に聞いてみた!】 に、 kimur@x として回答しています。今後平日毎日更新されるようです。直前期の今、本当に注意すべきは、オリンピックを見ないようにすることでしょうね……。

雑誌時代の『会計人コース』にも、ときどき投稿していました。質問すると、ちゃんと誌面で先生が回答してくれたんですよね。

弁護士による裁判例解説、会計学者による先端会計トピックの紹介など、試験に直接役立たないけれど、長い目で見るとためになる連載もよかったです。

税理士試験では、予備校の講師から言われたことを言われたとおりにやったうえで、『会計人コース』の問題を解くと、自動的に予備校を超える勉強をしたことになり、予備校の勉強だけの人には負けませんでした。

しかし、いまは雑誌の『会計人コース』がないので、来年受験する人は、中央経済社が発行している別売りの問題集などをプラスアルファで解くとよいと思います。