税理士試験合格のコツ (1)

時間を確保する

税理士試験を受験中、いくつか勉強法の本を読みましたが、結論は身も蓋もないものです。

脳は、使えば使うほど能力が高まる。インプットとアウトプットを繰り返せば繰り返すほど問題が速く正確に解けるようになり、合格が近づくと。

受験予備校に通う場合は、講義に全部出席して、問題集を全部解くのは当然として、別売りオプション問題集も解く、有料の総復習講義も取る、講師から言われたことは素直に実行する。結果、他の人よりたくさん勉強すれば、1年で1科目は受かります(運の要素も強いですが…)。

なので、その時間を確保することが必要です。

  • 残業のない仕事に就く(6年間の受験中、残業時間は延べ10時間もないです)
  • 移動時間の利用(通勤・出張・グリーン車)
  • 歯磨き時間の利用(録音した理論を聞き流します)
  • テキストをばらさず全部持ち歩く
  • Twitter をやめる(受験生のアカウントがたくさんあるのが不思議です…)

Excel 家計簿(こづかい帳)

年月日科目摘要入金出金残高
5月1日繰越500500
5月2日食費100400
6月1日外食喫茶300100
6月2日引出600700
金銭出納帳の例

私の付けている家計簿を紹介します。上のような Excel シートに入力を 1 年分行います。残高は、現金過不足を算出するため。預金・交通系IC・カード払いについては残高を動かしません。繰越・引出等は科目を空欄で打ちます。

これをピボットテーブルで月別推移表に変換して、費用一覧を作成し、その上に収入金額を入れて、貯金額を算出。月別推移表の作り方は:Excelのピボットテーブルの日付データを月ごとにまとめて集計する方法

合計 / 出金列ラベル    
行ラベル5月6月
食費100
外食300
推移表ピボットテーブル

ピボットテーブルの金額セルをクリックすると元帳が出ます。科目に医療費を設定すれば、年末と同時に医療費控除の集計が完了することになります。らくちんです。

『原点回帰の会計学』

読んでみました。IFRS は、何が何でも公正価値で測定するというわけではないので、ひたすら公正価値に否定的な論調には疑問を感じないでもないです。

同じような文言(「800年」で検索したら何個抽出されるのだろう)、前にも聞いた話が何度も繰り返されます。編集者は「繰り返しが多いですよ」と指摘しなかったのだろうか。1/4 に要約(圧縮)できそうな本です。

などとネガティブなことを書いてしまいましたが、いいところもあります! 損益計算書は機密情報なので、貸借対照表と比べて公開が遅れた(今も、売上値引高を公表しない会社がほとんどですもんね)といった歴史的な話は面白いです。

会計や経理の不正はなくならないけれど、そういうことをする人は、会計の原点、簿記の基本が分かっていないのだなと感じました。「簿記・会計は、事実に合わせるものだ」ということ。これが分かっていないから、数字を作ってしまうんでしょうね…。

法人がビットコインでもうかってしまった!(8)

時価評価ワンポイント

さーて期末時価評価するか、と思って、終値の表を見ると、「どっちだ?」となります。

販売所 BTC か、取引所 BTC/JPY か。

販売所では、お取引の相手は bitFlyer となり、bitFlyer の提示する価格で売買することができます。取引所…では、お取引の相手は他のお客様等となり、価格はお客様同士の需給によって決定します。

販売所、取引所…の違いは何ですか。

法人が事業年度終了の時に暗号資産を保有する場合は、その暗号資産のうち、活発な市場が存在する暗号資産(注)(…「市場暗号資産」…)は、時価法により評価した金額(…)をもってその評価額とする必要があります。

①価格等公表者によって公表されたその事業年度終了の日における市場暗号資産の最終の売買の価格…

暗号資産に関する税務上の取扱いについて(情報)

ということを調べると、取引所 BTC/JPY かな、と思います。

ジャズ喫茶 ちぐさ

JR・横浜市営地下鉄の桜木町駅からほど近い、野毛商店街の中にあるジャズ喫茶です。いまはコロナ対策で窓やドアが全開で、近くを通るとジャズが聞こえます。よい感じです。

メニューには子供向けのものはまったくないので、子連れの方にはおすすめしません(当たり前か)。

入店すると、順番にリクエストを聞かれます。口頭で伝えられればいいですが、レコードコレクションをまとめたファイルから選ぶこともできます。

オーディオは古風で、すごく高音質というのではないですが、2時間くらいは平気でいられる音量・音質です。

今度行くことがあれば、チック・コリアの「リターン・トゥ・フォーエバー」の B 面をリクエストしたいなと思います。他の人のリクエスト・選曲を聴く楽しみのある店です。

法人がビットコインでもうかってしまった!(7)

棚卸資産会計の重要性

ビットコイン有高帳(BTC BOX)

7回にわたって見てきましたが、ビットコインといっても珍しいものではなく、ただの売ったり買ったりする資産。その計算には結局、簿記の力がものを言うのです。

例えば、ビットコインを購入した場合には、取引所に支払った購入手数料をビットコインの取得価額に含めます。棚卸資産に関する付随費用の考え方と同じですね。

簿記で、BOX 図を書いて勉強した知識は、商品売買、有価証券、新株予約権、自己新株予約権、はては暗号資産の計算にまで、役立てることができます。最も応用の効く知識だと思います。

棚卸資産の評価方法(移動平均法、総平均法)、商品有高帳、期末時価評価といった論点は難しいけれど、ここさえ乗り切れば、簿記はマスターしたも同然です。受験勉強中の人は、じっくり時間をかけて理解してほしいところです。試験でも出やすいですし。

法人がビットコインでもうかってしまった!(6)

BTC と消費税

ビットコインを売ったら消費税がかかる? かかりません(非課税)。何千万円売っても大丈夫です。ビットコインを売るだけの事業をしている会社があったら、消費税の申告は必要ないことになります。

ビットコインを売ることについて政策的に優遇しているわけではなく、ビットコインを買う行為が消費ではないから、という理由ですかね。

国税庁パンフの ページ番号 41 をご確認ください。

一方、課税事業者の場合、消費税が非課税だということで、課税売上割合を求めるとき、ついつい分母に入れてしまってはいけません。控除できる税額が減って損してしまいます。

非課税だけど分母に入れなくてもいい取引として、税法で次のように規定されているからです。ビットコイン=仮想通貨=暗号資産 です。

次に掲げる資産の譲渡は、含まないものとする。

 暗号資産…の譲渡

消費税法施行令第四十八条(課税売上割合の計算方法)

法人がビットコインでもうかってしまった!(5)

時価評価

ところで、平均単価の計算上、前年繰越額(時価)を、前期末の移動平均法で算出した簿価に振り戻しましたか?

期末時価評価額で平均単価を計算すると、時価評価分が譲渡原価(またはビットコイン残高)に反映されてしまいますので、期首に時価から簿価に洗い替えます。そこから移動平均法による単価を出していきます。

(前期取得価額ベースの繰越額+取得数量×取得時価)÷(前期末数量+取得数量)=移動平均単価

前期取得価額ベースの繰越額+取得価額(時価)-譲渡原価(移動平均法)=期末簿価(移動平均法)

前期繰越数量+取得数量-譲渡数量=期末数量

期末数量×期末終値=時価評価額

時価評価額-期末簿価=評価益です。これも法人の収益に計上しておきます。ビットコイン等の終値は、取引所ホームページで公開されています。取引履歴には出てきません。

期首にマイナスした評価益と、期末に計上した評価益との純額が法人の利益となります。

法人がビットコインでもうかってしまった!(4)

端数処理

ビットコインは、数量や平均単価が必ず小数点以下の値を持つため、端数処理の問題が出てきます。端数処理をいつ、どこで、何回やるかによっては、次の (1) と (2) との金額に差が出てきてしまいます。

期首ビットコイン価額+今期取得ビットコイン価額-今期譲渡ビットコイン価額=期末ビットコイン価額(1)…帳簿棚卸高

期末ビットコイン数量×平均単価=期末ビットコイン価額(2)…実地棚卸高

もし、いまあるビットコインから譲渡原価を引いた残りとして出した金額と、期末にあるビットコイン数量に平均単価をかけて出した金額とが数円ずれる場合には、収益・費用として元帳に入力する金額を算定する直前に、1回だけ、端数切捨てをしてみてください。差は縮まるか、0になるはずです。

  • 取得・譲渡直前の価額(繰越額)…整数
  • 取得・譲渡数量…小数
  • 取得・譲渡時の時価…整数
  • 平均単価…小数
  • 取得原価…整数
  • 譲渡売価…整数
  • 譲渡原価…整数

法人がビットコインでもうかってしまった!(3)

譲渡原価はいつ分かる?

ビットコインの所得金額の計算式(国税庁)で、譲渡原価のところを見てください。一定の方法で計算した単価×売却した数量=譲渡原価 とあります。(算式1)

譲渡原価とは、商品売買でいう売上原価のことです。でも、簿記では、(期首商品棚卸高+当期商品仕入高)-期末商品棚卸高=売上原価 と習いましたよね。(算式2)

売上原価は「一定の方法で計算した単価×実地棚卸で数えた在庫の数量=期末帳簿価格 を確定してから、差額として求まるものである」というのが本来の考え方です。

でも、その本来の考え方では、実地棚卸をしたとき(月末か、年度末)にしか、売上原価が分からないことになります。

なので、売ったつど、売上原価(裏返しで、利益)を知りたい!となったときに、一定の方法で計算した単価×売却した数量 で求めるのです。

単価の計算には、端数処理の問題が生じますが、それはまた次回に。