freeeのエクセルインポートをRPAで行う/そのExcelを索引簿にする

ひさしぶりに Microsoft Power Automate のフローを作ってみました。

「エクセルインポート」の画面(ブックマークしておくといいです)を開いた状態から実行します。

この、開いた状態を作るのは、人間がやったほうが、手間がかからないですね。

freee では現状、「事業主借」取引や振替仕訳は、すべてエクセルインポートで入力しています。

これのいいところは、もう、仕訳として Excel ファイルができているわけですね。

なので、このインポート元のデータをもとに集計をしたりすることも可能です。

ただ、 freee を直したら、Excel も直さないといけないので、無理は禁物。

インポート用エクセルから索引簿を作る

それよりは、このインポート用のファイルを生かして、電子帳簿保存法の索引簿を作るということも考えられます。

インポート用の Excel ファイルに、「電子」という列を作って、PDF 請求書から打ち込んだ行には、「 1 」を入力しておきます。

その列を 1 でフィルターをかけて、別のシートに貼り付けます(電子取引のみの仕訳を取り出します)。

別の列に、連番を振ります。

その連番を、Flexible Renamer などで、PDF 請求書に振ってしまう。ファイルの並び順に気を付ける必要がありますが(時系列ソートで何とかなるか)。

これを、月末や期末に一括で行えばいいと思います。

API 連携のネットバンクなどの取引は、別途行う必要がありますが。

中小企業は、そもそも索引簿がいらない可能性大

上司に見せるため等の理由で、従来から PDF 請求書なども印刷して、ファイリングいたような小さな会社の場合。

(1) その印刷・ファイリングの業務フローはそのままで、(2) PDF 請求書を別途データのまま保存をしていれば、電子取引データ保存義務は、満たしたことになります。

真実性確保のための事務処理規定もいりません。

(1) と (2) を、税務調査時に調査官にぱっと見せることができれば OK です。

大きな会社はダメって言われるでしょうけどね。

あと、税理士も、ダメなんだろうな。事務処理能力あるだろ! と言われそうです。

法律の世界にあこがれていたが、そうでない世界と変わらないとも思う

以前、税理士業界と違うところにいたときは、税金の世界は、法律があって、ちゃんとそのとおりに実行されてていいなあーと思っていました。

もちろん、どの業界にもルールがあり、内規があるわけですが、やはり実行不能な規定というのは、空文化してしまうものです。

その空文化しているルールが何となく、嫌だなあと思っていて(若かったからですが)、税法の支配する業界にあこがれていたのです(隣の芝生は青い、ですね)。

インボイスと電子帳簿保存法の今後は

さて、インボイスと電子帳簿保存法ですが。

インボイスは、2023年10月から始まって、次々に出てくる国税庁の新たな見解に翻弄されている方もいるのではないかと思います。

電子帳簿保存法の、Amazon領収書などのデータ保存は、まもなく、2024年1月から義務化されます。これも、国税庁から実際の取り扱いについて、文書が出ていますね。

インボイスについて、国税庁は何が言いたいのかというと、「インボイス登録番号のある課税事業者から仕入れさえすれば、OKですよ」ということですね。

もらったインボイスに不備があっても、ありとあらゆる方法で挽回が可能です。ということは、税務調査で記載事項の不備について修正を迫られるということは、考えにくい。税額に影響のない、指導にとどまると考えます。

さまざまな経過措置のある6年間に、日本型インボイス制度(本来のインボイス制度とは、だいぶ違うものです)に慣れて、定着していけば、問題は小さくなっていくと予測しています。

中小事業者における電子帳簿保存法(電子取引データの保存)についても、調査に支障さえなければ、青色申告承認の取り消しなどということは起こらないでしょう。

調査でケンカ・対人戦になったら、どちらも別ですけども。

法律だろうと内規だろうと、実行不能な条文は空文化していくもの

インボイス保存と電子取引データの保存の義務化を、中小の事業者が完璧に行う時間も人手もありませんし、税務署から見ても、その義務をちゃんと果たしているか、調査しきることは相当難しいでしょう。

なので、次々に取り扱いを緩和するような情報が出てきて、法律が空文化していっているわけです。

法律の世界でも、契約の世界でも、同じことです。実行不能な規定は空文化していきます。

修正履歴がわかる会計システムなどを使用する(優良電子帳簿というやつです)。

紙だろうがデータだろうが、資料をぱっと取り出せるようにしておく。

これらは、中小企業を経営していく上でも、不正を防ぐために必要なことです。それさえできていれば、インボイス・電子帳簿時代の税務調査も、必要以上に恐れる必要はないと考えます。

無理のない制度対応をしていきましょう。

電子取引の保存 何から始めればいいか

電子取引の保存は、やるかやらないかではなく、やるしかないものです。

まず、電子取引の数を数えましょう。経理をするために、わざわざ印刷していた資料が、電子取引です。

次に、保存方法を決める必要があります。

  1. 電子取引の数が多く、追加の費用負担ができるなら、専用システムを導入
  2. 電子取引の数は多いが、追加の費用負担をしたくないなら、索引簿を導入
  3. 電子取引の数が少なければ、規則的ファイル名方式を導入

「仕事が増えて嫌だ」と思うかもしれませんが、いままで印刷していたのをやめれば、プラマイゼロになります。

結局、印刷していたのって、上司に見せて承認を得るためだけだったりしませんか? その承認のプロセスを、メールやチャットツールに変えるチャンスともいえます。

2.または3.の方法に決めたら、事務処理規定を整備するのも忘れないようにしましょう。また、保存先も決めます。クラウドなど、7年間保存に耐えうるものを選びましょう。

電子取引の保存は索引簿とAlt+PrtScで効率的に

索引簿か規則的ファイル名か

電子取引の保存は、見出しの2通りがありますが、やはり索引簿方式が速いかなと思います。

ファイル名方式も試してみたのですが、同じ取引先を何度も入力するのが手間でした。ここは、Excelのオートコンプリート機能で半自動入力した方が楽でミスも減らせます。

日付書式を設定すれば、年の入力も省略できますし。Alt→A→V→Enterで日本語入力のON/無効を列に設定しておくとさらによいです。

ファイルの連番はFlexible Renamerで振りましょう。

スクリーンショットかPDF出力か

これも手数からいってスクリーンショットが速いです。それも、マウスで範囲指定する方法(Win+Shift+S)よりも、「利用明細」の必要事項がすべて見えるようにブラウザ等のサイズをあらかじめ調整したうえで、「Alt+PrtSc」で、アクティブウインドウだけのスクショを取る方法が速いです。

OneDriveで、スクショと同時に保存されるようにします。ファイルが貯まったら、フォトで開いて、データを索引簿に入力したら、→キーで次の画像に移ってどんどん入力できます。PDFだとこうは行きません。

フォルダを分ける必要があるか

索引簿があれば、フォルダは年度ごとでいいと思います。いちいち保存先のフォルダを選ばなくていいし、月をまたいで連続して索引簿入力するのも簡単です。(連番を振るときだけ、別フォルダを作る)

電子取引は、消費税法上、印刷する必要があるのか?

結論から言うと、印刷する必要はありません。

電子取引」のように…書面での請求書等の交付を受けなかったことにやむを得ない理由がある場合には、帳簿のみを保存することにより仕入税額控除の適用を受けることができます。

電子帳簿保存法一問一答【電子取引関係】問4

2023年9月まで、電子取引は、帳簿のみ保存で仕入税額控除可の適用対象になります。ただし、10月以降は「帳簿+電子インボイス保存」で控除可に要件が変わります。

電子インボイスは、消費税では印刷保存でもOKです。ただし、法人税・所得税はNGです(2年間の宥恕あり)。

これを整理すると、宥恕のある2023年12月までは、印刷保存で法人税等も消費税も原則OK。

2024年1月以降は、法人税等のみNG。つまり、調査でデータ保存していないことがバレて青色申告取消になったら、法人税等の修正申告は必要ですが、消費税は修正申告がいらないという意味です。

電子取引の検索要件「規則的なファイル名を付す方法」を使うなら、Everythingを導入しよう

令和3年度税制改正による電子帳簿等保存制度の見直しについて

決定版資料が、法律適用開始の4日前に出ました。これさえ読めばやれます。というか、4日前にしか出せないし、ベンダーの対応システムも最近出そろったばかりなのに、改正1年後に適用開始は無理がありましたね。主税局は、「もともとあった法律の例外を削除するだけなので1年でいける」と判断したのでしょうが。しかし「過ちては改むるに憚ること勿れ」です。

索引簿、前のバージョンでは連番(通し番号)が丸数字でしたが、丸数字は環境依存の上、50(㊿)までしかないっつーの!と総ツッコミを受けてか、単なる数字に変更されました。

規則的なファイル名で検索要件を充足する方法を導入したら、いっしょにEverythingも導入しましょう。ファイル名による整理自体は、名づけルールを決めればよい方法です。Everythingなら、そのファイルを一瞬で見つけることができます。

電子取引の索引簿を仕訳帳で効率的に作る方法

電子取引(PDFでもらった/送信した請求書、ダウンロード販売の領収証など)で、Excel索引簿を作るにあたって、前回前々回は、連番(通し番号)をいかに効率的に振るか、に特化して紹介しました。

しかし、実際には、取引年月日・取引先・取引金額もExcelに入力しなければなりません。電子取引の数が少ないなら、仕訳帳=索引簿にする方法もあります。

取引年月日・取引先・取引金額は当然、仕訳の入力時に入っていますから、このままでOK。取引金額は、請求書等の総額で入力するように気を付けましょう。

連番は、仕訳の前にPDF等のファイル名に予め入力しておき、ファイル名を見ながら摘要に転記しましょう。その際、「qq001~」みたいに特徴となる英字を入れておき、仕訳帳を「qq」で検索して、電子取引の仕訳を一気に抽出してExcel形式で保存するだけで、索引簿が完成します。こっちのほうが効率的かもしれませんね。

電子取引のExcel索引簿に連番列を効率的に作りたいならコマンドプロンプト

電子取引の領収書等データ保存のワークフローを考えました。まず、PDFやらスクショやらの資料を年度ごとに一つのフォルダに保存し、つど会計ソフトに入力します。

そして、年度が終わったら、1年分まとめて1回だけ、検索要件を満たす保存の処理をします。前回の方法で、このフォルダのファイルに連番(通し番号)を振ります。

次に、この通し番号を索引簿に転記するのに、コマンドプロンプトを使います。

  1. Cドライブのユーザ名直下に、workフォルダを作る
  2. workフォルダに電子取引データをすべて移す
  3. 検索バーに cmd と入力し、コマンドプロンプトを起動
  4. cd work と入力し、work フォルダに移動
  5. dir /b と入力し、ファイル名の一覧を表示
  6. 表示されたファイル名をマウスでドラッグ選択、Ctrl+C
  7. Excel索引簿にCtrl+P

連番列は、通し番号を含んだファイル名の一覧でも要件を満たすと考えられます。効率化しましょう。

電子取引の請求書・領収書データ保存で連番を付すなら Flexible Renamer

2022年1月以降は、データだけで紙がない請求書等については、検索できる状態で、データのまま保存する必要があります。その際、検索できるようにするには3通りの方法があります。

  1. ファイル名に通し番号を付し、その番号を管理するExcelファイルを作る
  2. ファイル名に、日付・取引先・金額を織り込む
  3. 電子帳簿保存法改正に対応した文書管理システムを導入する

このうち、2. の方法は、ブラウザでPDFファイルを開いて、それを見ながらファイル名を変更することでできます。Adobe Acrobatで開くと名称変更ができないので注意です。

お金で解決するなら 3. の方法でもいいわけですが、ここは、1. でがんばってみましょう。

ファイル名に連番を付す。これを手作業でやるのは非効率。 Flexible Renamer で省力化します。設定画面の例を示します。参考にしてください。

財務省も読んでる桜井『財務会計講義』、武田『簿記I』

「記帳不備」…実地調査において、…記帳すべき事項が相当欠落している…記帳が…3か月程度以上…遅滞している…記帳が全くされていない…帳簿等の提示がなく記帳状況が不明…

説明資料〔記帳水準の向上について〕

今、個人・フリーランスの人がそもそも帳簿をつけておらず納税が正しくされていないという問題があります。財務省の人はクラウド会計ソフトに夢を見ているようですが、

フリーランス側は、そこまで銀の弾丸ではないという受け止めで冷静な感じ。日付と金額をミスなく入力する機能であって、結局は「着眼点」が必要なもののようです。

今回は納税者サイドからのヒアリングが行われたとのことで、資料が以下にまとまっています。

第5回 納税環境整備に関する専門家会合(2021年6月15日)資料一覧

その資料に、試験勉強の参考書としておなじみのアレの名前が挙がっています! 予備校のテキストはほぼこれらをもとにできてますよね……。